1. ホーム
  2. 組織開発
  3. 「広告代理店をこえて、繁盛代理店へ」企業スローガンで企業価値を再定義。

「広告代理店をこえて、繁盛代理店へ」企業スローガンで企業価値を再定義。

創業50年以上。歴史ある「交通広告代理店」。

愛知県は名古屋市にある富士エージェンシーという

交通広告代理店があります。

 

たとえば、地下鉄やバスで、こんな放送を聞いたことはありませんか?

「次は●●駅。●●薬局にお越しの方は、こちらの駅でお降りください」

これも「車内ガイド放送」という列記とした交通広告です。

それから、電車の中吊り広告。バスの車内に貼ってあるポスター。

最近では、電車やバスの車両を丸ごとジャックするキャンペーンや

外装を装飾するラッピング広告も。これらすべてが交通広告です。

 

創業50余年の富士エージェンシーさんは、

名古屋市交通局の広告枠を一挙に取り扱う老舗代理店です。

代表の鈴木さんは、先代社長のお父様から事業を継承し社長になりましたが、

その当時から不安を抱いていたとおっしゃいます。

それは、「広告代理業だけで、この先も生き残っていけるだろうか?」という不安です。

 

インターネットとスマートフォンが普及し、

広告の出稿先はテレビ・新聞・雑誌の3大メディアや電車、バスから、

インターネットやSNSの場へと変遷しています。

交通広告のニーズがまるでなくなったかというとそうではありませんが、

年々、出稿量が減少しているという事実から逃れることはできません。

 

富士エージェンシーさんは企業として変革すべき時にある。

企業ホームページのリニューアルのタイミングで、鈴木社長からお声がけいただきました。

 

広告代理店をこえて、繁盛代理店へ。

イマドキのスタイリッシュなWebサイトを構築するのがゴールではない。

変革しなければならないという切迫感のなかで、

富士エージェンシーさんが新たなステージへ向かう上で「指針」

となる「企業スローガン」が必要だと考えました。

 

そこで、作成したのが以下のメッセージ文です。

 

■くわしくは、 こちらのサイト からご覧いただけます。

「広告代理店」という業種名が、企業の活躍の幅を狭めていた。

富士エージェンシーさんが広告代理業を廃止するわけではありません。

50年以上かけて培ってきた広告媒体の幅広い知見や、

「各路線に暮らす人々の特性や生活様式を推測し、的確に広告を掲載する場所を見抜く力」

は競合他社に勝るノウハウです。これらを否定するつもりはありません。

むしろ生かさなければ。

 

一方で、「広告代理店」という業種名が活躍の幅を狭めていたことも事実です。

長年、事業を続けてくなかで、「広告枠を売るのが私たちの仕事だ」という

固定概念に縛られていたのです。

 

企業スローガンを通して、

「交通広告という“手段”を駆使し、お客様に“商売繁盛”という価値を提供している」

と再定義することで、自分たちの強みや勝ちどころ明確になりました。

 

「変革」というと、一見これまで培ってきたものを全否定することが正解のように思えます。

しかし、これまで積み上げてきた強みを振り返り、

●自らの活躍の幅を狭めているものはなにか?

●自らを縛り付けている固定概念はないか?

と疑問を投げかけてみることで、変革への第一歩が姿を表すのです。

 

「営業」や「販売員」といった職種名も、活躍の場を奪っている。

職種名でも同じことがいえます。

基本的に、業種名や職種名は、「機能」を表す言葉です。

そこに、競合他社に勝る価値や強みが言語化されることはありません。

別途、企業スローガンや、理念、ミッション・ビジョンなどで言語化してあげなければ、

業種名や職種名の字面通りでしか、動こうとしなくなるのです。

 

例をあげます。

とあるアパレル店で「販売職」の従業員に対し、

店長が「今日から、販売員ではなくファッションアドバイザーと呼びます」と

店舗スローガンを掲げました。するとどうでしょう?

「服を売る」という仕事内容自体は変わりませんが、

「売りつける」という固定概念が和らぎ、

「服の着こなし方や組み合わせを楽しくアドバイスする」という価値に重きを置くようになります。

自らの仕事に抱く印象や高揚感に違いが出て、以前より仕事が楽しくなる可能性も。

このように、業種名や職種名が、企業の活躍あるいは社員の活躍を奪う可能性があり、

業種名や職種名そのものを変更したり、企業スローガンを再定義したりすることで、

活躍の場を再び広げることができるのです。

 

私も、コピーライター・ディレクターという肩書きに縛られていないか?

自分が提供できる価値に制限をかけていないか?と、

ときどき自問自答し、自分の活躍の幅を広げよう広げようと、工夫しています。

 

PERSON