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クリック率の高い広告は、ユーザーを本当にキャッチできている?

広告を使って、ユーザーをキャッチしたい

広告の目的ってなんでしょう。コピーの目的ってなんでしょう。

キャッチコピーという言葉があります。キャッチするためのコピーです。ユーザーをキャッチする。その人を立ち止まらせ、広告を見てもらう、そして商品・サービスに興味を持ってもらう、それがキャッチコピーだと、僕はいったんそう考えています。

もちろん、キャッチするために機能するのは、コピーだけではありません。多くのコピーには、ビジュアルが紐づきます。ポスター、看板、新聞広告、TVCMは、言葉と絵がいっしょになって、キャッチするため奮闘します。(なかには、ラジオCMのようにコピーはあるがビジュアルのないものや、コピーなしで通じるビジュアルだけの広告もあります。)

キャッチできたかをどう測るか

LINE、Facebook、Instagram、Twitter、TikTokなどのSNSも、広告コピーとビジュアルの戦場です。日々、何百、何千と入稿されるバナー広告が、配信設定にあわせて各人のタイムライン上にとめどなく流れてくる。僕自身、ユーザーとしてSNSを利用している時、大部分の広告はうざったく感じます。いや、それどころか意識せずフリックしてスルーするので、不快にすらなりません。皆さんの多くもそうだと思います。

要するに、多くのSNS広告はユーザーに無視されているのです。そのなかで、ユーザーをキャッチするのは大変です。そのために、代理店は頭をひねり、ABテストとPDCAをとめどなく繰り返し、少しでもユーザーをキャッチできるコピー、ビジュアルを見つけ、それを配信します。

また、SNS広告に限らず、デジタル広告の世界は残酷です。数字であらわせる限り、ほとんどすべての結果がわかります。何人に何回クリックされたのか、そもそも広告は表示されたのか、広告に反応したユーザーの年齢構成などなど。「数字上はあまりよくない結果だったけど、うちの社長が気に入ったのでよかったです」なんて結末は期待できません。

そのコピーがどれだけの人をキャッチできたか、そのビジュアルがどれだけの人をキャッチできたか。数字で効果を測るデジタルの世界では、それはクリック数で測れます。クリックした人は、その広告に釣られた、つまりその広告経由で商品・サービスに興味を示した、といえるわけです。

Facebook広告でABテストをしてみた

いま、ハッテンボールがつくり、配信したFacebook広告の効果検証をしてみました。アイデンタルクリニックという愛知県常滑市の歯科医院のアカウントで配信したものです。オンラインで歯科医師とともに歯ならびについて学ぶ、全国でも珍しい歯ならび勉強会の宣伝広告です。

いったん本文は検討しないとして、バナーは2パターン使用しました。

▼これがAパターン

▼そしてこれがBパターン

どちらもクリックすると、「オンライン歯ならび勉強会」について説明するページへ飛びます。ユーザーはさらにそこから予約フォームへ遷移することで、勉強会参加を予約できます。ターゲット設定等の条件は、AとBでまるっきり変えませんでした。

試しに、皆さんもぜひ、自分はどちらの広告に惹かれるか、また一般的にはどちらが効果が高そうか、予想してみてください。

結果発表

さて、結果です。

あらかじめ断っておくと、ここでは具体的なターゲットや数字は出しません。管理画面を通して細かく配信を設定できるデジタル広告は、その運用自体に価値があり、それは絶対に外に漏らしてはいけないノウハウだと考えるからです。

数字を出せないのが申し訳ないところですが、Aパターンの方がクリック数が多かったです。その他、クリック率(CTR)やクリック単価(CPC)といったクリック関連のどの指標も明らかにAの方が優れていました。(厳密には計算していませんが、おそらく統計的に有意なレベルだと思います)

つまり、Aの方がユーザーを「キャッチ」できる広告なのです。それがコピーのおかげか、写真のおかげか、あるいは他の要素がそうさせているのかわからないものの、Aの方が明らかにクリックされている事実は事実です。

あれ待てよ、果たして本当にそうなのか

ただし、今回の僕は、Bの方が優秀な広告としました。それはクリック数でAに負けていても、予約数においてAを圧倒していたからです。A経由でサイトを訪れたユーザーの多くは予約フォームへ移動してくれませんでしたが、B経由でサイトを訪れた人のなかには、ページを遷移するたくさんのユーザーがあらわれました。

ユーザーをキャッチするキャッチコピーとしては、確かにAの方が優れていました。しかし、Bは一度キャッチしたユーザーを離さなかったのです。キャッチは成功/失敗という観点だけでなく、その深さまでを比べる必要があります。その意味で、Bは一度つかまえたユーザーを離さない、深さを持った広告だったのでした。

大事なのは何を基準におくか、つまりKPI

よく考えてみれば、もともと予約増加をめざすキャンペーンだったわけですから、予約率でABを比べるべきは確かです。あくまで目的は、サイトに訪れてもらうことではありません。いくらサイトに訪れても、予約に至らなかったら意味がないのです。

逆に、「こんなおもしろいサイトつくったんだ、見てくれ」という目的なら、クリック率で比べて問題ありません。要は、目的に合った基準で比べないといけない、ということです。

今や、日本の広告費全体に占める割合は、デジタル広告がTVCMを超え、第1位に。(詳しくは、電通さんのレポートをどうぞ。)「ビッグデータ」の語も少し前に流行り、広告の世界もデータマーケティング一色になりました。

しかし、データが存在するだけではどうしようもありません。データを活用する術がないといけません。間違った使い方では逆効果だし、何より膨大なデータを前にするとどこから手をつけていいかわからない。そんな時こそ、どのデータを見るか、が重要なのです。僕の場合、それが今回は予約関連の指標でした。結果、今後はBを活用することを決められました。データの見方を間違えて、Bを捨ててAを選ばずに良かったぁ——。

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