コラム
文章が苦手だった大学生が、取材記事を楽しむようになるまで
ライターに興味を持った大学生
大学4年生になって、急にライターになりたくなりました。
なぜだかは今もよくわかりません。ITベンチャー志望だったので3年次末に就活が終わり、サークルも卒業し、授業も減り、暇を潰したかっただけなのかもしれません。
もともと文章を読むのは好きでしたが、書くのはあまり得意じゃありませんでした。(今も下手のままな気もします。)小学校の読書感想文から大学生の期末レポートに至るまで、ものを書いて褒められたり、高評価をもらったしたことは一度もありませんでした。とにかくどんな小さなものでも、文章で成功したことはありません。
でも、書くのは好きでした。それは確かです。人に見せないものの、小説やエッセイをただ自分のためだけに書く子どもでした。人に見せて批判や助言をもらわなかったから伸びなかったのかもしれません。
とにかく、好きだけど苦手でした。小学生のとき一度、国語の授業か何かで小さな物語をつくる課題があり、意気揚々とのぞんだものの自分の作品にはコメントがもらえず、先生が給食の時間にしきりにある生徒の作品を褒めていたことを覚えています。その子は普段の学業成績は悪かったものの、確かに文章はおもしろかった記憶があります。よく覚えているからコンプレックスなんだと思います。むしろその一件を機に、自分が書いたものを人に見せない少年になったのかもしれません。
それがどうしたことか、大学生になったら一気に書きたくなったのです。しかもライターとして、人に読まれる文章が書きたくなりました。恥を耐え忍ぶということを覚えたんだと思います。
どうしたらライターになれるか
問題は、どうやったらライターになれるかでした。会社員だったら入社すれば名乗れる。議員だったら当選すれば名乗れる。ほとんどの職業はその職業になったタイミングがわかりやすいんですが、ライターはどうもそうではないようです。
いろいろ考えてみたところ、どうやら名乗ったもん勝ちではあるようでした。そこでまずは経験も実績もないままに名刺をつくってみました。当時、本当に使っていた、名刺です。
これでひとまずライターになれました。目的は達成したのですが、ライターになってみたらなってみたで、ライターとして仕事をしてみたくなりました。
とりあえず、Facebook経由でいろいろなイベントに参加して、いろんな社会人の先輩方と名刺交換をして、自己紹介ではいろいろと書きたい旨を伝えてまわりました。この時点で実績はまだありません。
するとボチボチ知り合った人がまたその知り合いを紹介してくれるようになり、書く機会がまわってきました。しかし、「頼みたいんだけど、どんなものが書けるか?」「どんなものを書いてきたか?」となり、答えることができません。だって、それまでに何も書いてみせたことがないのですもの。
そこで強みになったのが「学生」という身分です。メディア系の会社では「学生ライター募集」「学生インターン募集」などの求人がありました。そこなら未経験でも入口がありました。むしろ未経験を前提にさえしている求人です。さっそく、Wantedlyで見つけたメディア会社に応募し、無事、取材記事を書くチャンスを得ました。
取材して書く、ということ
初めてのその記事は、ある企業の広報の話を聞き、かつその後にオフィスを見学し、数千字にまとめるものでした。これが一応、依頼者のメガネに叶ったようで、その後もそのメディアでは何件か記事を書きました。
これもラッキーだったのですが、取材記事から始めたのがよかったみたいです。取材記事なら、自分のなかに表現したいテーマがなくても、書けますし、何よりもSEO記事などのクラウドソーシングと異なり、文字あたりいくらの超低単価で受けずに記事1本数万円の発注を受けることができました。
うまい具合に繋がって、大学4年生の間に何本も取材記事を書くことができました。そのまま社会人になっても副業ライターを続けて、それからまた紆余曲折があってハッテンボールへコピーライターとして入社することになるのですが、その話は一旦おいておくとして。
取材記事は実績から実績へ繋げるのに適していただけでなく、自分の性にも合っていました。原田泰造ばりに曲がったことが大嫌いで変なところで融通がきかず、また想像力が欠けていて、どうしてもフィクションをつくるのが苦手なので、基本的に相手の発言を切り貼りする、事実に基づく取材は向いていました。取材記事は、ハッテンボールに入ってからも自然に楽しんでできる仕事です。(今後はフィクションをつくるマインドと技術も身につけたいところ。)
たとえば、こんな取材記事
最後に、ハッテンボールに入社してからの記事をいくつか掲載して、今回は終わりたいと思います。
●キッチンカーのWebメディアに書いたシンガポール料理屋さんのインタビュー
●飲食店の清掃支援を行う企業の採用サイトに載せた内定者座談会