ブランディング
ロゴと企業理念(1)
ロゴひとつで、何がどうなる?
ロゴの制作を頼まれた場合、なるべく依頼主にお会いして詳しくヒアリングをするようにしています。理由は「単にロゴを作るだけだから」と簡単に考えてお願いされる場合が少なくないからです。
広告を打つ時にその費用対効果を勘案するように、設備投資をする時に経済性計算をするように、企業のロゴにも数字には表れにくいかもしれないが考慮すべき事項があるのではないでしょうか。「分かりやすさ?」「企業イメージ?」もちろんこれらも大事ですが、もう一歩踏み込んで考えてみます。
ロゴは企業の顔になります。つまり、見た目からその人となりが想像される訳です。業種業態や企業姿勢は言わずもかな、時にそれは、その企業の経営哲学やビジョンなども透けてみえることがある。それがロゴです。
知ってるロゴを思い浮かべてみてください。そのロゴは、その企業や商品・サービスの情報だけでなく、どんな性格(たとえば企業姿勢)なのか、なんとなくでもイメージが出来るのではないでしょうか。
ブランドのミッション・ビジョン・バリューとも繋がっている
特に長年家族経営されてきた企業や、新しく会社を設立するため慌ただしくされている経営者にそういう話をすると、「なるほど」と納得され、この機会に考えられる、といったケースが多いです。
そういう訳で、ロゴを頼まれたら、それと共に「企業理念(ブランドのミッション・ビジョン・バリュー)」や「ブランドコンセプト(メッセージ)」も提案していた。というような事がけっこうあります。逆に言えば、企業理念からロゴを考える、というのが自然とも言えます。色や形の好みは二の次三の次くらいに。つまりロゴをつくるには、表層である所謂グラフィックデザインを整えるだけでは足りないのです。
ロゴづくり≒家づくり?
そう考えると、ロゴって家づくりに似ています。
○どんな思い(=企業理念)でそれをつくるか
○どんな暮らし(=事業)がしたいか
○どんな誂え(=コミュニケーション/デザイン)ならそれが叶うか
といった具合です。前述のように、表層(デザイン)だけが美しくても、それに内実がなければ、説得力を帯びません。
また、ロゴを作り替える場合は、企業のプロモーション活動(Webサイトやパンフレット、看板や名刺…)が活発なほど物理的に大変。というのもあり、大きなお買い物とも言えるのかな、と。
今回はロゴづくりには企業理念や、どう社会とコミュニケートしていくかという視点が必要。という主旨を書きました。では、どのようにロゴを捉え、検討に必要なトピックを抽出し、実際に作っていくのか。そこについては、第2回としてまた機を見て書こうと思います。