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編集とデザインの話。

そもそも、なんで「SUMI SUMI」?

墨田区が発行するフリーマガジン「SUMI SUMI」。
シティプロモーションを目的とした冊子で、これを創刊から今に至るまで、3号作っています。(僕はクリエイティブディレクション&デザイナー兼ライターとして)

実はこの「SUMI SUMI」、元々違うタイトル案でした。コンセプトとアプローチも。墨田区さんにもOKいただいたそれを、一度解体・再構築、再提案して「すみだすみこなしマガジン SUMI SUMI」が生まれました。まずは、なぜそうなったかという所の補足から。

当初案には個人的にモヤモヤを抱えていました。(「自分たちで提案しておいて」という自省の念も込めつつ書きます) 「シンプルで明快か」という点で、物足りなさを感じていたのです。

立ち上げに際し、目的に対して墨田区の現況を踏まえた上でどうアプローチしていくか、という所に沢山の議論がなされました。そこで感じたのは「やっぱり、まちは混沌。町会や商店会などの地域コミュニティ、防災活動、社会福祉、学校・教育…さまざまなレイヤーがあり、それぞれにやるべき事や伝えたい事がある」ということ。それらを整理し、魅力として伝わるようにコミュニケートしていく事がこの冊子の役目。だから、もっと分かりやすくて、かつ親しみを持てる面構えにしてあげたい。

また、くらしを豊かにするために、まちの活動や行政の取り組みを知り、それら使いこなす→これってつまり「住む」を「こなす」こと=「すみこなし」と言えるのでは? そう考え「すみだ、すみこなしマガジン SUMI SUIM」が生まれるに至りました。

▼1号では、まずは自己紹介。「はじまめして、SUMI SUMI」です。これからよろしくね」と、すみだのまちの特徴・魅力を広く紹介し、子育て世帯へ向けた施策・制度や補助金など、行政の取り組みも紹介。

▼2号では、一歩踏み込んで「まちぐるみで学ぶすみだ」として、まなびの舞台としてのすみだの魅力を発信。学校だけじゃなく、まちの中に学びの機会が豊富にある!ということを伝えました。具体的には、都心に近いが意外と自然多い件/学校支援ネットワークが行うゲストティーチャープログラムはめちゃめちゃ面白い授業が沢山ある件/防災活動では3世代が交わりみんなわちゃわちゃ楽しんで取り組んでいる件。などなど。

▼3号は「寄り合うすみだ」。詳細はまた別途書きたいと思っているので割愛しますが、「集まることの可能性を考える」というテーマでさまざまな場・人にフォーカスしました。

▼ちなみに、このSUMI SUMIが起点になり、Webサイトもリニューアル。その名も「SUKI SUMI〜すきが集まる、すみだのローカルメディア〜」。紙とWebとで、すみだのまちの魅力を発信する兄姉メディアになりました。
外山の記事でもご紹介しています。(写真はWebサイトを紹介するポスター)

編集は「分かりやすく」、デザインは「ごった煮感」。(SUMI SUMIの場合)

編集において「シンプルが正義か」というと、必ずしもそうとは限りません。(複雑なものを複雑なまま提示して、受け手の捉え方に委ねる。という考え方もある訳で) その前提に立った上で、SUMI SUMIにおいては、いわゆる「編集」を通して、まちの活動を分かりやすく&面白く伝える、のが大事な要素と考えています。なぜなら前述のように、まちは混沌なので。(と、編集においては当たり前のような事を書いていますがご容赦ください)

なので、デザインも「ごった煮」感(まちの面白みの本質って、そういう所にもある気がします)ある誂えです。読み物でもあるので、文字の読みやすさは前提として抑えつつ、まちの混沌を楽しくデザインに含ませています。2号では、特集テーマの「学び」の対象は子どもなので、そこに自由さをプラスしました。ちなみに、表紙の写真も、カメラマンさんには「あそことあそこで自由に撮ってきて」と、だいぶざっくりなオーダーです(笑)。

記事もデザインも、編集においては、1工程であり素材です。ここをやるにあたって、シンプルで明快なコンセプトがあると、編集がうまく回り出すと考えています。

雑誌にしても「暮らしの手帖」が季節や土地と向き合う丁寧なくらしを一貫して伝え続けるように、はたまた「BRUTUS」は毎号特集を変えながらもその時代の空気感にフィットしながらそのセンス(嗅覚や審美眼とでもいうか)への羨望を集め続けるように、明文化されずとも読み手にも伝播するコンセプトって、やっぱり良いものだと思います。こういうのを引っ括めてブランドと言うのではないでしょうか。

編集方針を掲げてみるのもアリかも。

ちょっと蛇足ですが、編集するにあたって編集方針というのもひとつのポイントかもしれません。SUMI SUMIの場合、明文化はしていませんが、あえてここでを僕なりに編集方針を考えてみると、以下のようになります。
○すみだのまちの魅力を顕在化し「伝わるもの」にする
○すみだを「すみこなす」ために、情報を捉え・発信する
○まちの可能性・ひとの可能性を考える

あとは、逆張り的かつ細かいものですが、こういうのもありそうです。
○「下町情緒溢れる」とか、安易にそういう言葉に頼らない。
○取材記事は予定調和的に(制作側の意向などで)ならないように。そしてライブ感を大事にする。

長くなりましたが、今回は編集(コンセプトメイク〜体制づくり)とデザインについて書きました。これらを分けて考えるのではなく、一本で繋がったものであると考えると編集部は走りやすい。そして、これらを共有した小さくて強いチームというのは、編集部として目指すべきひとつのカタチかも、と思うのでした。

 

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